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「国民徴用令」一問一答 

法律ではこうだったが…?

01)徴用する根拠となった法律は?
02)徴用が行われたのは?
03)どんな人が徴用の対象者?
04)徴用されなかった人たちもいたか?
05)徴用で働かされた場所は?
06)何のための徴用したか?
07)誰の権限で進められたか?
08)徴用の命令が本人に届く手続きは?
09)徴用の最終決定者は誰か?
10)徴用は拒否できたか?
11)病気や怪我をした時は?
12)徴用中に死亡した時は?
13)徴用中の監督は誰か?
14)給料や旅費などはあったか?
15)単身赴任の場合は?
16)生活扶助は誰が行ったか?
17)徴用された後はどうなったか?
18)実際の事務は誰がおこなったか?

[制作者註 この「国民徴用令」一問一答は

沖縄戦で乱発された「徴用」が
法律ではどのようになっていたかを逐一見直し、
実際の運用と法律の条文にどれだけの落差があるのか、
または、法律の運用がいかにでたらめであるかを
検証するために作成しました。
したがって、この一問一答は、
沖縄戦の証言と対になっています。
さらに、
「有事法制」の条文とどう重なるのか、
三層構造を比較検討することによって
法制の建前と本音が見えてくるのではないでしょうか。]


01) 国民を徴用した根拠になる法律は何でしたか。

「国家総動員法」第四条、第六条に基づいて、
国民を徴用しました。
(「国家総動員法」第四条、第六条、「国民徴用令」第一条)

02) どのような場合に徴用を行ったのですか。

徴用は、職業指導所(現在のハローワーク)などで
募集しても足りない場合に行うことになっていましたが、
一方では特別な場合は除くという条文もありました。
(「国民徴用令」第二条)

03) どのような人が徴用されたのですか。

徴用は、「国民職業能力申告令」によって
申告された者に限る、となっていました。
この「国民職業能力申告令」も
当初は男子のみが該当者でしたが、
改正を繰り返し、女子も該当者にしました。
さらに、国民徴用令では、
特別な場合はそれ以外の者でも徴用できることになっていました。
(「国民職業能力申告令」「国民徴用令」第三条、同条2項)

04) 徴用されない人たちはいましたか。

いました。「徴用できない人たち」と「徴用しない人たち」に分けていました。
徴用できない人たちは次の人たちです。
一  陸海軍軍人で現役の者、また陸海軍軍人で召集中の者、
但しまだ入営していない者は徴用されます。
二  陸海軍学生生徒で、予備補習生も含まれます。
三  陸海軍軍属、但しすでに被徴用者である者は徴用されます。
四  医療関係者で職業能力申告令によって申告をすべき者
五  獣医師で職業能力申告令によって申告をすべき者
六  船員法による船員、朝鮮船員令による船員、関東州船員令による船員
 ※朝鮮や関東州はその当時日本の植民地であった。 
七  法令による拘禁中の者
(「国民徴用令」第二十一条)

徴用しないのは次の人たちですが、特別の場合は除くとなっています。
つまり、総動員業務の内容によってはこの人たちからも徴用は行われました。
一  国家公務員、上級役人、又は地方公務員で他人が代われない職にある者
二  国、地方の議会の議員とそれに準ずる者
三  総動員業務に従事していて他人が代われない者
(「国民徴用令」第二十二条)

05) 徴用されるとどんな所で働かされたのですか。
徴用は、国や官庁が管理する管理工場や指定工場などで行なわれました。
特別な場合は、厚生大臣が指定する工場でも行うことができました。
(「国民徴用令」第四条、同条2項)

06) 何のために徴用を行ったのですか。
徴用は総動員業務に従事させるために行なわれました。
(「国民徴用令」第四条)

07) 徴用は誰の権限で進められたのですか。
最初の徴用命令や最終の解除命令は厚生大臣が行ないました。
また、途中の変更命令や等も厚生大臣が発しています。
(「国民徴用令」第五条)

08) 徴用はどんな手続きでおこなわれたのですか。
 まず、官庁や政府の管理工場で徴用が必要な時は
厚生大臣に請求します。
次に、厚生大臣は徴用命令を発し、
地方長官(知事)に通達します。
次に、地方長官(知事)は、「徴用命令書」を
徴用される者に公布します。
(「国民徴用令」第六条、第七条)

09) 誰が、最終的に徴用を決めるのですか。
 地方長官(知事)は、厚生大臣の命令に基づいて、
徴用される者の居住地、就業地、職業、技能程度、
身体の状態、家庭状況、希望などを判断し、
徴用に適切か否かを決めたり、
総動員業務の内容や徴用の場所などを決定します。
その判断のために必要な時はその者を出頭させて調査することができました。
(「国民徴用令」第九条、第十条)

10) 徴用の通知がきたら断れなかったのですか。
 「徴用命令書」が交付された者は、
やむなき事故等によって指定の日時と場所に出頭できない場合は、
地方長官(知事)に届け出たりすることはできましたが、
断ることはできませんでした。
それどころか、「国家総動員法」では、
次のように、罰則までありました。
つまり、徴用に応じなかったり、総動員業務に従事しなかったり、
また、被徴用者の雇傭、解雇、賃金などについての
政府(厚生大臣)の命令を守らなかったりすると、
一年以下の懲役または千円以下の罰金が課されました。ただ、
地方長官が事前に調査した結果、
徴用に不適切と判断した時は取り消しを行ったり、
場所の変更などは行うことはできました。
(「国民徴用令」第十一条) 「国家総動員法第三十六条」

11) 病気や怪我などをした時はどうなりましたか。
被徴用者が病気等の理由で、
総動員業務に適しなくなったり、必要がなくなったり、
業務の従事が困難になったりした時は、
徴用の解除を請求したり、申請したり、
届け出たりすることができました。
それを受けて、厚生大臣が徴用を解除することができました。
 また、厚生大臣は必要と認めた時は、
請求や申請がなくても徴用を解除することができました。そして、
厚生大臣は徴用の変更や解除の時は、
地方長官(知事)などに通達することになっていました。
次に地方長官(知事)は、被徴用者に変更や解除を
交付するという手続きをとることになっていました。
(「国民徴用令」第十四条、 第十五条、第十六条)

12) 徴用中に死亡した時はどうなりましたか。
総動員業務の従事中に死亡した時は、
その遺族が生活困難になった時は扶助することになっています。
(「国民徴用令」第十九条の三2項)

13) 徴用された時の監督権は誰がもっていたのですか。
被徴用者は、官庁に使用されている場合はその官庁の長の指揮を受け、
管理工場などに使用されている時はその事業主の指示に従うこと、
となっていました。
(「国民徴用令」第十七条)

14)徴用期間中の給料や旅費などはありましたか。
はい、ありました。給与は、その者の技能程度、
業務内容、就業場所、以前の給与その他を考慮して、
官庁または事業主が支給することになっていました。
(「国民徴用令」第十八条)
また、徴用される者が調査のために出頭する場合の
旅費は地方長官(知事)が支給することになっていました。
つまり、その者が出頭した都府県が支払うということです。
また、被徴用者の徴用による出頭や解除による
帰郷の旅費は、官庁または事業主が支給することに
なっていました。
また、前金を渡さなければ出頭できない者に対しての旅費は、
その居住地の市町村などが一時的に立て替えて
支給することになっていました。
(「国民徴用令」第十九条)

15) 家族などと離れた場所での徴用では、どうなったのですか。
被徴用者の徴用により、家族と別居する時や特別の理由がある場合、
また被徴用者が業務上の傷害や病気により徴用を解除された時は、
本人や家族が生活困難になることがあればこれを
扶助することなっていました。
(「国民徴用令」第十九条の三)

16) これらの扶助は誰が行ったのですか。
扶助を受けた者が官庁の時はその官庁が、
管理工場や指定工場などに使用されていた場合は、
事業主が行うことになっていました。
(「国民徴用令」第十九条の四)

17) 徴用された後はどうなりましたか。
厚生大臣または地方長官(知事)は、徴用に関して、
当該職員を工場や事業所などに派遣して、
業務の状況や帳簿類などの物件を検査させることができました。
(「国民徴用令」第二十条)

18) 徴用の実際の事務は誰がおこなったのですか。
厚生大臣は、
国民職業指導所(現在のハローワーク)所長などに
徴用の事務の一部を担当させたり、
また、市町村長などにも徴用の事務を補助させることができました。
(「国民徴用令」第二十三条)

[制作者註]
※この「国民徴用令」は、
昭和14年7月8日に「勅令」として公布されました。
そして、
昭和15年勅令第674号、
昭和16年勅令第1129号、
昭和17年勅令第38号、同勅令第731号、同勅令第781号、
昭和18年勅令第600号、同勅令第855号、
昭和19年勅令第89号、同勅令第600号、
昭和20年勅令第22号と改正されました。
※本回答の内容は昭和16年勅令第1129号改正に基づいています。

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